インタビュー

機会の平等を実現するために、リバネスにたどり着いたひと

生まれた環境にかかわらず、豊かさを追求できる社会にするには、どうすればいいのだろうか?

2023年11月にリバネスに入社した駒木俊がずっと抱いていた問いである。数学が得意で、社会や経済にも強い関心を持っていた駒木は、システム制御理論を専攻。修士課程では排出量取引制度をテーマに研究に打ち込んだ。そして自身の興味を探究する中で、次第に出てきたのが冒頭の問いだった。本記事では、なぜそのような問いを抱くようになったのか、どのような想いでリバネスにジョインしたのか、情熱の源泉に迫った。

駒木 俊(Shun Komaki)
2023年11月にリバネス入社(創業開発事業部)。2024年5月から国家政策研究センターにも所属。東京工業大学大学院修士課程修了(工学)。専攻はシステム制御理論。

研究の醍醐味は「自分で考え、導いていく」

まず、駒木さんがどのような研究をしていたのか教えてください。

大学ではシステム制御理論を専攻していました。対象を望み通りに動かすために必要な条件や手法を、数学を使って導き出す学問です。わかりやすい制御対象でいうと、自動車やロボットなどの機械ですが、生体システムや経済システムといったものもシステム制御理論は扱えます。私は修士課程で、カーボンプライシングのひとつである排出量取引制度を研究テーマとして取り組んできました。

高校時代から数学や物理が得意で理系の道に進みましたが、大学で学んでいく中で、自然科学よりも、人の振る舞いや意思決定など不確かな要素が関わってくる社会科学に魅力を感じたので、この研究テーマにしました。

駒木さんが感じる研究の面白さは何でしょうか?

自分なりのアウトプットを作れるのが研究の醍醐味だと思います。試験勉強は、何を覚えて、どんな問題を解けるようになったらいいのか、やるべきこととゴールがある程度決まっています。でも、研究は「何をゴールにするか」から、自分で決めないといけません。自分なりの仮説を立て、検証し、新しく社会に提言できる何かを導き出せた時に「よし!」とやりがいを感じていました。

「ベンチャー支援を通じて個の挑戦機会を増やす」ためにリバネスへ

そのまま博士の道に進むという選択肢もあったと思いますが、就職という道を選んだのはなぜでしょうか?

実は修士で研究を始めた当時は、思うような研究結果が出せず、研究者は向いていないと思っていたんです。ですので、修士1年生の頃から就職という道を視野に入れていました。就職活動をする中で、「人生で何を成し遂げたいか」に真剣に向き合いました。そしてたどり着いたのが「機会の平等に貢献したい」という思いでした。

個人的な話になりますが、私は裕福とは言えない家庭環境で育ちました。でも、国立大学の学費免除や民間財団からの支援、国の奨学金など、様々な社会制度に支えられながら修士号まで取得することができました。このような経験をしてきた自分には、「環境に左右されず豊かさを追求できる社会を実現するためには、何をすべきか」という思いがずっとあります。これも、社会科学に興味があった大きな理由です。そこから、機会の平等に貢献する仕事に就きたいと考え、たどり着いたのが「ベンチャー支援を通じて個の挑戦機会を増やす」というものでした。

なぜベンチャー支援だったのでしょうか?今伺ったご自身の経験を踏まえると、教育や社会保障を担う公共セクターを選択することのほうが自然な気もするのですが。

私も当初はそう思っていたところがあります。ただ、公共セクターの機能というのは「今ある豊かさというパイを社会に配分すること」であり、「パイ自体を大きくすること」を担っているのは経済だと次第に考えるようになりました。まず先に経済成長があるからこそ、教育や社会保障が取れる手段も増えていく、という流れであるはずです。そう考えると、経済の停滞が叫ばれている日本で、「いかにして次の成長企業を生み出すか」という課題に貢献できるのはベンチャー支援だと思ったんです。

2022年に、日本国内のスタートアップを大幅に増やすための戦略「スタートアップ育成5か年計画」を政府が発表しました。ここ数年でベンチャー支援をする企業も増えてきています。数ある企業の中でも、リバネスを選んだ理由を教えてください。

リバネスは、社会課題を技術で解決する「研究開発型ベンチャー」を支援していることが大きかったです。就職活動で様々な企業に出会う中で、本質的な価値を創造することができる研究開発型ベンチャーに携わりたいという思いが強くなり、リバネスを選びました。

実は私が最初にリバネスを知ったのも、日経新聞の「非営利スタートアップの創業期を支援する一般財団法人Soilと連携開始」という記事を読んだことがきっかけだったんです。よく調べてみると、大学や企業で生まれる科学技術の“社会実装”を促す「TECH PLANTER」というプログラムも提供していて、「研究から社会実装までが遠い」という私の課題感にマッチするような企業だなと感じました。

ビジョンを実現するために「なんでもやる」のがリバネス

2023年11月に入社して5ヶ月が経ちましたが、入社前と入社後で、リバネスに対する印象は変わりましたか?

良い意味で裏切られました(笑)。就職活動時に抱いていた「ベンチャー支援のリバネス」という印象はあくまで全体の一部であり、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンを達成するために「なんでもやる」のがリバネスだと今は感じます。

そのように思う理由のひとつが、関わるプロジェクトの幅広さにあります。私は入社時の希望通り「創業開発事業部」に配属になりましたが、中学校や高校に出向いてサイエンスの面白さを伝える「出前実験教室」や、大企業の人材育成・組織開発の提案など、多岐にわたってプロジェクトを担当しています。ベンチャー企業だけでなく、行政機関や教育機関などビジョンを一緒にかなえていけそうな人たち全てを巻き込んでいくスタンスがリバネスだと感じています。

あとは、リバネスでは一人ひとりがそれぞれ固有のパッションを持っており、そのパッションに沿ってプロジェクトを生み出しています。今後は「機会の平等に貢献する」「ベンチャー支援をする」というざっくりとした思いでなく、「そもそも機会の平等とは何か」「どんな人にアプローチをしたら課題が解決できそうか」などより具体的に説明できるよう、もう一度自分自身と向き合い、何をやりたいのかを言語化しなくてはいけないと思っています。

駒木さんの情熱からどんなプロジェクトが生まれるのかが楽しみです。本日はありがとうございました!

リバネスは通年で修士・博士の採用活動を行っています。 詳しくは採用ページをご確認ください。