インタビュー

「面白い!」という気持ちが、その人のエンジンになる。

好奇心がなくなったら、それはリバネスではない。

宮内 新しい採用サイトの立ち上げにあたって「なぜリバネスは好奇心の強い人を求めるのか」について私と浄さん(※井上浄の社内での呼び名)で語り合ってください、というのがこの対談の趣旨なのですが、浄さんはどう思いますか?

井上 そもそもの話として、「なぜリバネスが好奇心のある人を求めるか」という、その問い自体が少し違うかもしれないですね。だってリバネスという会社は、好奇心でできているんだから。リバネスから好奇心を取ったら、何も残らないですよ。ミヤッチ(※宮内の社内での呼び名)もそう思いません?

宮内 うーん、何も残らないとまでは・・・。

井上 いや、実際そうだと思いますよ。リバネスはいろいろな事業をやっているけど、「今はこれが流行ってるからうちもやってみよう」なんて考えは一切ないでしょう。コレってどうなっているんだろう、コレとコレを掛け合わせたらどうなるだろう。誰かがそんなことを考えたところに「自分もそう思う」とメンバーが集って、自然発生的にチームになる。それでプロジェクトができて、新しい事業が立ち上がるというのがリバネスのスタイルですから。「これって新しくない?」「めちゃくちゃ面白くない?」という好奇心がなくなったら、それはもうリバネスではないですよ。

宮内 浄さんは創業メンバーの1人ですけど、リバネスは最初からそんな感じだったんですか?

井上 少し遠回りな答えになりますけど、僕は人と話しているときでも論文を読んでいるときでも、何か気になることがあると、そのままにしておけない性格なんですよ。それはどういうことなんだろう、と首を突っ込みたくなってしまう。もちろん、その全てに取り組むには時間が足らないんだけど、とにかくどんなことでも知りたくなる人間なんです。それでM1のときに、世の中のあらゆる疑問を解決に導く「世界一面白い研究所」をつくれないものだろうかと本気で思ったわけです。まあ、周りの仲間に話しても、「お前大丈夫か」と心配されて終わるんだけど(笑)。

宮内 それは心配されるかもしれないですね(笑)。

井上 でも、1人だけ強い興味を示してきた人間がいたんですよ。「え、お前も?」「オレも世界一面白い研究所をつくりたいんだよ」って。あれは本当に驚いた。

宮内 それが丸さん?

井上 そう。もともと大学の同期で仲は良かったけど、まさか同じことを考えてるとは思わなかった。しかも、真顔でそう言ってきたから。

宮内 そこにもう1人の創業メンバーの池上さんも合流したんですか?

井上 いや、池上は池上でBLSという学生団体で丸と知り合った時に誘われていて。で、3人で初めて会ったときに「やるしかないね」と。

宮内 でも、世界一面白い研究所をつくるといっても、何から始めたらいいのかわからないですよね。

井上 そう、なので結論として、とりあえず会社をつくっちゃえと。マクドナルドに居座って、みんなで定款を書いたりして。当時は「定款」の読み方も間違えてたんだけど。

宮内 なんて読んでたんですか?

井上 ていきん(笑)。ミヤッチがいるのは、そんな会社です。

宮内 そうでしたか(笑)。いずれにしても、リバネスは3人の好奇心から生まれた、と。

井上 3人というのは語弊があるかもしれない。実際に動き始めたら「あいつら面白いことやってるぞ」と仲間が集まってきて、総勢15人になったんですよ。だから正確には、そのメンバー全員の好奇心から生まれた会社だと思いますね。

好奇心とは、どんな物事でも面白がれること。

宮内 好奇心を辞書でひくと、「珍しいことや未知のことに興味を持つ心」とあります。浄さんにとっての「好奇心」はどういうものですか。

井上 「物事をおもしろく捉えられる心」ということだと思う。例えば、いま僕らの目の前には、この対談を収録するためのICレコーダーがありますよね。これ、普通は「ICレコーダーがあるな」で終わるんですよ。

宮内 普通はそうですね。

井上 でも僕は、このICレコーダーにバイオの素材をちょっと加えたらどうなるんだろうな、と考え始めてしまうんです。そんな事例はこれまで多分ないはずだ、と。もちろん、そんなことをしても何も起こらないかもしれない。でも、もし何かが起きたら、自分の手で「世界初」をつくり出したことになるじゃないですか。要するに好奇心というのは、そういうことで。どんな物事でも面白がれる、どんなものでも興味を持てる、ということなんです。

宮内 それは、感性なのか、資質なのか、それともスキルなのか・・・。

井上 元々の性格かもしれないけど、実際のところはスタンスじゃないかな。つまり、どれだけ面白がれるか、という生き方というか。ちなみに、僕はそれを「好奇的思考」と呼んでいて、大学で若い人たちに講演する時には必ず伝えています。「面白がる力をつけよう!」「好奇的思考を身につけよう!」って。

宮内 それは私もまったく同感ですね。

チャレンジを続けていれば、必ず誰かに拾われる。

井上 研究者がどうして研究にハマってしまうかというと、ずっと頑張っていると、その先に「世界初」を自分の手で、目の前で証明できる、という瞬間が来るわけです。それはもう「うぉぉぉ!」ですよ。でも、ミヤッチは植物を相手に研究していたから、その機会というか、そもそもチャンス自体が半年に一回くらいしか来ないわけですよね。それってすごいことだなと心底思います。

宮内 正確にいうと研究対象は大豆で、結果が出るのは一年に一回ですね(笑)。

井上 いやもう、本当にすごい。しかもそれを、中国でやっていたわけでしょう。

宮内 はい、新疆ウイグル自治区で研究していました。

井上 わざわざ中国まで行って、博士課程の3年間でチャンスが3回しかない。報われるかどうかもわからない。それでもやるわけですよね。それこそ好奇心の塊だなと思うんですよ。なんでも面白がれる人間でなければ、そんなことはできませんから。そこで聞きたいのは、そこまでできるミヤッチが、どうして大学で研究を続ける道ではなく、リバネスを選んだのか、ということなんです。

宮内 それは運とタイミングが関わる話なんです。実は当時、私が大豆の研究をしていた同じ場所で、米の研究をしているチームもいまして。で、どちらの研究も成果は出ていたんですけど、現地で社会実装の候補に選ばれたのは米で。まあ、平たくいうと、現地の人は豆よりも米が食べたかった、と。

井上 仕方ないといえばそれまでだけど、研究者としてはつらい話だ・・・。

宮内 でも、自分がやってきたことはやめたくないし、研究の成果を社会の中で生かすこともやりたい。ただ、大学にいたままでは、それを生かす場所がない。そういう状況になって企業に就職することを考え始めたときに知ったのがリバネスだったんです。

井上 具体的にはリバネスの何を?

宮内 当時、宇宙教育プロジェクトをやっていたじゃないですか。スペースシャトルを利用して宇宙に大豆を打ち上げる、という。それを見て、「大豆でおもしろいことをやってるな」と。なので、偶然が偶然を呼んで、私はリバネスにたどりついたんです。

井上 なるほど。でもそれは偶然じゃなくて必然だと思う。世の中というのは、新しいこと、面白いことにチャレンジし続けていると、必ず誰かに拾われるようになっているんですよ。リバネスもやり続けていたし、ミヤッチもやり続けていた。その結果だと思いますね。

「植物としか会話できないヤツ」の成長。

井上 実際に入社してからはどうでした?

宮内 当時の私は、研究はできるけど、逆にいえば「研究しかできない」人間でしたから。致命的だったのは、人と話すのがめちゃくちゃ苦手だったということで(笑)。

井上 あー、そうだ。「植物としか会話できないヤツ」とか言われていましたね(笑)。なんというか、口調がぶっきらぼうだったんですよ。

宮内 リバネスの社員は、全員が出前実験教室をやるじゃないですか。でも子どもたちに科学のおもしろさを伝える以前の問題として、そもそも人としゃべれないんですよ。だから最初は結構しんどかったですね。正直、くさることもありましたけど、自分の経験を次世代に伝えることの面白さがわかってきてからは楽になりましたね。

井上 素晴らしい!じゃあ、その一方で、自分の研究を社会で生かしたいという思いの方はどうなりました?

宮内 その点についても、本当にこの会社に入ってよかったと思っています。というのも、リバネスは与えられた業務をこなしていくという感じではないですよね。もちろん「これをやってくれ」ということもあるけど、基本的には自分でテーマを見つけて、周りを巻き込んでいく形を取ることが多い。それこそ、浄さんのいう「好奇的思考」で仕事ができるというか。

井上 結果的に、ミヤッチは自分で会社もつくりましたしね。アグリノーム研究所という会社を。

宮内 そうですね。今日着ているパーカーもアグリノーム研究所のオリジナルです。ロゴが目立たない生地を選んでしまって失敗したなと思ってるんですけど(笑)。それはともかく、会社をつくるということは、そのぶんお金を稼ぐ必要も出てくるんですが、それも含めて楽しんでいます。アグリノーム研究所として、大学の先生方と共同研究を始められてもいますし。大学の外に出たことが、巡り巡って大学に繋がりました。

井上 リバネスはベンチャーと手を組んで事業化を目指すことも多いから、社会実装を見据えた研究ができる良さもありますよね。

宮内 それも大きな魅力です。今後も農業に携わる人を手助けできるような研究をしていきたいなと思っています。

「面白がれる」は「好きなことをする」よりも強い。

井上 最後に採用の話をしようと思うんですけど、ミヤッチとしては「こんな人に来てほしい」とか「こういうタイプがいい」とか、そういう思いはありますか?

宮内 やっぱり自分の研究を大事にしている人に来てほしいですね。そういう核があるからこそ、一緒にできることも生まれるので。逆にいうと、「大学で研究するのが嫌になったから民間で働きたい」というのはちょっと違うかなと。

井上 それは完全に同意です。どんな分野でもいいけど、とにかく死ぬほど研究が好きという人がいい。

宮内 あとは、好奇的思考がある人ですよね?

井上 その通り!それでいうと、一つだけ、はっきりさせておくべきことがあって。繰り返しになりますけど、好奇心というのは「なんでも面白がれる」ということであって、それは「好きなことだけをすればいい」ということでは全くないんですよ。

宮内 そうですね。そこがずれていると厳しいかもしれない。

井上 好奇的思考ができる人というのは、別にそれが好きなことではなくても、自分で見つけた「面白さ」を元にして行動できるんですよ。面白がって、未知に突っ込んで、そこで自分ができることを見つけて、しかもかつて誰もやったことがないとなれば、それはもうやるしかないでしょう。「面白い!」という気持ちが、その人のエンジンになる。つまりはそれが、好奇心ドリブンということなんです。

宮内 確かに。その意味では、リバネスのことを少しでも「面白そうだな」と思う人であれば、ぜひ一度話をしてみたいですね。

井上 そうそう。全てはそこから始まりますから。好奇心ドリブンの人、いつでもお待ちしてます!(2021年12月4日時点)


宮内陽介(みやうち・ようすけ)/千葉大学大学院園芸学研究科環境園芸学専攻修了、博士(農学)。大学の修士、博士課程では、「中国乾燥地におけるダイズの多収栽培技術開発」という研究課題のもと、新疆ウイグル自治区に赴き現地の研究者ともに栽培技術の確立を行った。自身の研究経験を活かし、2016年にアグリガレージ研究所を設立、2019年より農業や畜産業に限定されない分野横断的な研究を積極的に推進していくため農林水産研究センターを立ち上げ、研究・技術開発を推進する。

井上浄(いのうえ・じょう)/東京薬科大学大学院薬学研究科博士課程修了、博士(薬学)、薬剤師。リバネス創業メンバー。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。