インタビュー

「なぜそうなるのか」を問い続け、居場所をつくろうとする人

10代の頃から「なぜそうなるのか」を考えることが好きだった。就職活動では進路の軸が見つけられず、大いに悩んだ。そんな混乱の中でリバネスに出会い、入社を決めたのが、地域開発事業本部の岩田愛莉だ。少しずつ自分の立ち位置を見つけてきた彼女は、いま何を大切にし、これからどんな挑戦をしていこうとしているのか。

岩田 愛莉(Airi Iwata)
広島県廿日市市出身。愛媛大学大学院 農学研究科を修了し2024年5月にリバネスに入社。地域開発事業部に所属。

物事の仕組みを知りたくなった原点

ー岩田さんは広島出身ですよね。

広島の廿日市市出身です。学校から毎日、厳島神社のある宮島が見えるようなちょっとした高台で生まれ育ちました。

ー世界遺産のすぐそばですね。

はい。坂ばかりの地域なんですが、そんなところで育ちました。

ーではまず、幼少の頃になりたかったものから教えてください。

小さい頃の夢は毎年のように変わっていました。ピアニストになりたいと言っていた年もあれば、水泳選手や研究者という年もあって、きっとそのとき目の前にある「好き」を素直に追いかけていたんだと思います。

ただ、中学生のときに iPS細胞のニュースを見て、「サイエンスってすごい」と衝撃を受けた瞬間がありました。その時から理系の道に進もう、研究に携わる仕事がしたいと自然に思うようになりました。そこからは研究者になるという目標は変わらなかったです。

ーiPS細胞のどこに一番衝撃を受けたんですか。

「どんな細胞にでもなれる細胞」が存在する、という事実そのものに圧倒されたんです。もともと細胞は、一度役割が決まったらその道を進むしかないと思っていました。それを初期化して、また別の姿に変えられるなんて「生命ってなんて神秘的なんだろう」と純粋に驚きました。

iPS細胞の衝撃が、サイエンスの面白さと「生命をもっと知りたい」という気持ちをつないでくれたと思います。その頃から「なぜそうなるのか」を考えるのが好きになって。中学時代は化学反応式をパズルのような感覚で楽しく解いていました。

ストーリーとして理解する面白さに出会い、進路に迷った学生時代

ーその感覚は高校生になっても変わらなかったですか?

そうですね。生物の教科書を読んだとき、「細胞の中で何が起きているか」が物語のように理解できて、点だった単語が線としてつながって見えたんです。生物の仕組みをストーリーとして理解することがどんどん面白くなっていった時期でした。私にとってサイエンスって、「なぜそうなるのか」を追いかける面白さそのものなんだと思います。

ただ、高校時代はこの感覚に共感してくれるクラスメートにも出会えず、孤独感を抱えていた時期でもあります。光合成の過程を「この分子がこう変わって、最終的にエネルギーになるんだよ」と嬉々として話しても、クラスメートにまったく共感してもらえず・・・。理科が好きな自分を出すほど、クラスの中では浮いてしまう感覚がありました。その居心地の悪さは、今でもよく覚えています。

ー広島から離れて愛媛大学の農学部に進学したのは、居心地の悪さを感じていた高校時代から心機一転という意味合いもあるのでしょうか。

たしかに、「完全な新天地に行くのもいいかも」という思いはありましたね。大学では興味対象が同じ友人にも恵まれましたし、結果としてとても良い選択だったと思います。

ー大学では何の研究をしていたのですか。

大学・大学院ともに、セサミンという成分の研究をしていました。ゴマに含まれる成分ですが、化学反応を駆使して実際に自分の手で作って健康への影響や機能性を調べる研究です。正直に言うと、研究テーマ自体は先生から設定されたものを粛々と進めたという形なので、やや受け身でした。

ただ、研究そのものが合わなかったかというと、そんなことは全くなくて。セサミンが体の中でどのようなタンパク質と結合して形を変え、最終的にどんな結果につながるのか、スタートからゴールまでの道のりを一つひとつ追っていくプロセスは、とても性に合っていました。

ー中高生時代からの「なぜそうなるのか」を考えるのが好きだという志向はここでも発揮されていますね。

途中で何が起きているのかを考え続けることと、物事の過程をストーリーとして理解することに面白さを感じるのは、私の中で一貫しているんだと思います。

ーその他に大学・大学院時代に印象に残っていることはありますか。

大学1年の終わりからずっと個別指導塾で講師のアルバイトをしていて、小学生から高校生まで幅広く教えていたのですが、とても楽しい時間でした。

生徒が「わかった!」と表情を変える瞬間に立ち会えるのが特に好きでした。それまで理解できなかったことがつながって、目がぱっと輝く。人が理解に至るプロセスをそばで見られることも好きだし、その瞬間に立ち会えると、こちらがエネルギーをもらえるような感覚もありました。

ーそれなら、教師になるという選択肢もあったのでは?

教えることは好きでしたし、人の成長に関われる仕事にやりがいも感じていました。ただ、もっと外の世界を見てみたいという気持ちが強くなったんです。大学院まで進んで研究をしてきた中で、「研究や科学が、社会の中でどう扱われているのか」を知りたいとも思いました。

そうして就職活動を始めたのですが、いざ研究職や技術職で就職先を探してみると、自分の関心や大切にしたいことと、目の前の選択肢がうまく重ならず、モヤモヤと悩む日々が始まりました。

ー具体的には何に悩んでいたのですか。

とある面接を受ける中で、「自分の研究や技術が、きちんと理解されていない」と感じる場面がありました。理系学生を支援する団体の方との面談だったのですが、その人たちですら理系分野への興味を示す姿勢に疑問を感じたんです。この経験から、「理系の人たちは、社会の中でどれくらい理解されているんだろう」と考えるようになりました。技術をつくる人と、それを伝える人の間にズレがあって、そこをつなぐ橋渡し役のような存在が必要なんじゃないか、と。

それで、研究を外に出す“ハブ”のような役割にも興味をもつようになりました。一方で、「研究を離れていいのか」「やっぱり教育にも興味がある」という迷いもあって。どれが自分の軸なのか、どの方向に進めば全部を活かせるのかが全くわからなくて、どんどんモヤモヤが大きくなっていきました。

ー当時の悩みや混乱が伝わってきます。

そんな混乱のピーク時に、指導教員と久しぶりに話す機会があったんです。「やりたいことはたくさんあるのに、将来像に結びつけられない」と泣きながら話したら、先生が一言、「それならリバネスってところがあるよ」と。

中高生のエネルギーに触れ、リバネス入社を決意

ーそれがリバネスとの出会いですか?

はい。それならばと、まずは会社説明会に参加しました。研究や教育に関わる事業もしていて、面白そうな会社だなと感じました。そしてそれ以上に印象的だったのが、働き方や給与のことなども含めて、隠さずにオープンに話しているという点でした。「オープンで良い人たちが働いている会社なんだろうな」と。

その後、リバネスが仕掛けるいくつかのイベントに参加してみて、さまざまな取り組みが実は一本の思想でつながっていることが少しずつ見えてきました。

ー入社の決め手になったイベントはありますか。

中高生向け学会「サイエンスキャッスル」ですね。研究発表する中高生たちの姿を見て、こんなに若いのに、自分のテーマをしっかり自分の言葉で語っていることや、大人顔負けの視点や熱量で研究に向き合っていることに、かなり衝撃を受けました。

中高生たちのエネルギーに触れて、「私も頑張らないと」と自然と思うことができて。それでリバネスへの入社を決めました。

ー入社してから1年半ほど経ちますが、最も印象に残っているプロジェクトを教えてください。

「ことまちカレッジ」のラーニングクリエーターコースの取り組みです。大人と子どもが「一緒に活動し、互いに新しいことを学ぶ」という双方向の学びをつくるラーニングクリエーター育成プロジェクトですが、大人側の変化が印象的でした。丁寧に話を聞いていくと、その人なりの問い(Question)や情熱(Passion)が必ずあって、それを言葉にすることで、本人も初めて「自分にはこんな軸があったんだ」と気づく瞬間がありました。

リバネスの良いところは、そうした個人のQとPをきちんと聞き、引き出そうとする文化があることだと思っています。その人の中にある問いや情熱を起点に、何ができるかを一緒に考えていく。ことまちカレッジは、その姿勢がとてもよく表れているプロジェクトだと思います。

ことまちカレッジの参加者とプロジェクトメンバーと(前列左端)

「自分が感じる“面白さ”を安心して出せる場」をつくりたい

ーでは、入社から1年半を経た今の岩田さんにとって、リバネスはどんな会社だと感じていますか。

一言で表すのはなかなか難しいです(笑)。でも、今の自分なりに言葉にするなら、「個人のQPを起点に、少し先の未来をつくろうとしている会社」という感じです。

リバネスでは、その人がどんな問い(Question)をもっているのか、何に心が動くのか(Passion)を丁寧に聞いてくれて、そのQPをどう社会につなげていけるかを、一緒に考えていく文化があります。そして、目の前の仕事だけでなく、世の中の2、3歩、いや10歩くらい先を見据えて動いている感覚があるんです。

あとは、「いろんな人をちゃんと受け入れてくれる会社」だということ。まだ言葉になっていないような状態でも、それも含めて一度受け止めてくれる安心感があります。

ー高校時代に居心地の悪さを感じた経験をもつ岩田さんにとって、それは大きな点かもしれませんね。最後に、リバネスで今後仕掛けていきたいことを教えてください。

まさにそうだと思います。だからこそ、今後は「自分が感じる“面白さ”を安心して出せる場」をつくっていきたいです。

リバネスにある「人のQPを引き出し、受け止め、次につなげていく文化」を、コミュニティづくりの中で形にしていきたい。地元の広島を例にすると、今はいろいろな素地が集まり始めていると感じています。テックプランター、カーボンリサイクル、教育の取り組みなど、それぞれの分野で尖った面白い活動が生まれている一方で、それが地域の中で十分に理解されたり、子どもたちの将来像と結びついたりしているかというと、まだ難しい部分もあると思います。

だから、それぞれの想いや活動を広島の地にきちんと落とし込んでいき、「こんなことをやってみたい」「それ面白いね」と言い合える関係が生まれ、人と人がつながりながら前に進んでいく。そんな良い循環が自然に生まれるコミュニティをつくっていきたいです。

◆◇◆リバネスは通年で修士・博士の採用活動を行っています。 詳しくは採用ページをご確認ください。