インタビュー

好奇心のおもむくまま、胸踊るプロジェクトを生み出すひと

大阪本社に勤務する地域開発事業部の正田亜海は好奇心旺盛な性格で、その時々の興味に応じて探求する分野を変えていった。アメリカへの憧れから英語学科に進学し、フィールドワークへ興味を抱いて他大学の社会学部に編入。まちづくりをテーマにアメリカ・ポートランド市を研究したかと思えば、大学院ではマグロの資源管理に向き合った。そんな正田はリバネスに入社して、社会課題を解決するプロジェクトにやりがいを見出している。彼女はなぜリバネスで働いているのか。その経緯を伺った。

正田 亜海(Tsugumi Shoda)
株式会社リバネス 大阪本社 /2019年、上智大学大学院修士課程修了。大学ではポートランド市を事例にしたまちづくり研究に取り組み、大学院ではマグロの資源管理について研究した。

「これ面白い!」に正直であり続けた学生時代

–正田さんは小さな頃からアメリカが大好きだったと聞いています。

そうなんです!小さな頃に、テレビでアメリカのディズニーランド特集を見て憧れを抱き、その後すぐに当時めずらしかったアメリカのディズニー特集が組まれた「るるぶ」を購入しました。その冊子を何度も読み返しながら「いつか絶対アメリカに行くんだ!」と思っていました。

その夢は、中学時代にアメリカへ短期留学する機会があり、すぐに叶えることができたんです。留学先はポートランド市だったのですが、そこは自然が豊かで、地元の群馬にも雰囲気が似ていて、すごく居心地が良かったのを覚えています。この経験からアメリカのことがもっと好きになり、高校生の時にも1年間アメリカに留学しました。

–留学の経験が、今に影響しているなと感じることはありますか?

私は「やりたいことを実現するために学ぶ」という姿勢を大切にしているんですが、これはアメリカで覚えたものです。高校時代の留学先は、生徒が自由に授業を選択できるシステムだったので、まずは「私が学びたいことや、やりたいことってなんだったっけ?」と考えなければいけなかった。そうして学びたいことに向き合ってる時間はすごく楽しいものでした。「主体的に行動を起こせば面白いことが待っている」と思えたことは、大きな収穫だったと思います。

短期留学で訪れ、後にフィールドワークも行ったポートランドの街並み

–アメリカへの思いを強めていった正田さんですが、大学はどのような進路を選んだのでしょうか?

大学はとにかく海外への憧れがあり、外国語学部の英語学科に進学しました。入学当初は充実感がありましたが、2年生になってから「海外も言語も好きだけど、社会に出てからそれで何ができるんだろう?」と危機感を抱くようになって。ただ、何を探求したいのかが見えなかったので、まずは幅広く社会全体を見渡しながら考えてみようと思い、大学3年生の時に別の大学の社会学部に編入したんです。私は社会調査に興味があったので、編入後はフィールドワークができる授業に参加しました。

–フィールドワークは何をテーマにしたのでしょうか?

テーマは「小樽市の色彩の変化」です。時代の変化と共に、街にあるお店や看板、ポスターや標識は変わっていきますよね。これらの「街を構成する要素」が変わることで、街の色彩は変化していきます。この色彩の変化に着目し、担当教授が20年以上かけて集めた小樽の商店街の写真を使って、産業や住民の変化を調べていきました。

ゼミに入ってからは、「街の住みやすさ」や「コミュニティの形成過程」「生物多様性」などをテーマにアメリカのポートランド市でフィールドワークをしながら、ポートランドをモデルにまちづくりが行われている、千葉県柏市の「柏の葉地区」や和歌山県有田川町との違いを比較研究しました。


この研究の中で、環境都市や生物学、都市工学など、新たな知識や視点が必要だと感じたので、これらの知識を得るため、環境学部の大学院に進学しました。修士1年生の間は都市工学の分野で論文を書くためにフィールド調査を進めていましたが、想定よりも調査が進まず…。

「そろそろ修士論文のテーマを決めないといけないですね」と教授に相談する中でマグロの漁獲量が減ってることを知り、修士論文の研究テーマをマグロの資源管理にしたんです。だって不思議じゃないですか、回転寿司のお店に行けばマグロが品切れになっていることはほとんどありません。実際に自分の目で見て確かめたいと思い、マグロ漁船に乗せてもらいながら研究を進めました。

漁師さんに直談判し、漁船に乗りこみながら研究を続けた

–その時々で異なる研究テーマに関わってきたんですね。

社会学部に入った理由は、幅広く社会全体を知ることが目的でしたし、社会をより広く学ぶために環境学部の大学院に進学したので、自分の中では一貫した選択でした。私はもともと好奇心が強く、様々なものに興味が移る性格です。当時は、少しでも面白そうと思ったものには何でも挑戦していました。

リバネスの『超異分野学会』で、テクノロジーがつくる未来が見えた

–修士課程修了後はどのような進路を考えていたのでしょうか?

親の希望もあって就職することを決めていました。いくつかの企業から内定もいただいていましたが、「本当にこれでいいんだろうか」という違和感はずっとあって。というのも、ビジョンに強く共感できる会社がなかったんです。面接では「御社の〇〇に魅力を感じました」「御社では〇〇がしたい」とプレゼンをするんですが、どこか嘘をついているような感覚が拭えませんでした。

–正田さんはその後リバネスに入社しますが、どのようにリバネスを知ったのでしょう?

ブリッジを作ってくれたのは、リバネスが開催するプロジェクトで司会を務めるアナウンサーの榎戸道子さんです。実は、私と榎戸さんは従兄弟関係なんですね。親族の集まりで「めちゃくちゃ面白い会社があるよ!」と、リバネス社員の西山さんを紹介してくれました。

西山さんに教えてもらったのが、リバネスの海底探査技術開発プロジェクト『DeSET Project』です。これは日本全国から集まったベンチャー企業、研究者、町工場などが協力して海底地形図を作るプロジェクトで、その壮大さに驚きました。

DeSET Projectのコンセプトムービー

その後、リバネスが開催する『超異分野学会(研究者・大企業・町工場・ベンチャーなどが分野や業種を超えて研究を推進するための交流会)』に招待されて、トークセッションを見たんですが、どれもすごく面白くて!

特に記憶に残っているのは、心疾患の診断をアシストする機能が付いた遠隔医療対応の聴診器「超聴診器」を開発しているAMI株式会社のセッションでした。この機器を患者さんに使ってもらえば、遠隔地でも心音と心音図が確認でき、聴診もできるようになります。

「超異分野学会」では様々なセッションが開催されていて、テクノロジーを通して社会課題を解決しようとする事例がたくさん聞けたんですね。そこには自分の想像を超えた世界が広がっていたのですごくワクワクして、まるでタイムマシンに乗って未来に来てしまったようでした。その後、入社試験を受け、大阪本社へ配属になりました。

自ら動いて事を起こせる環境

–現在はリバネスで、どのようなプロジェクトを担当しているのでしょうか?

地域開発事業部に所属してリバネスが主催するプロジェクトの運営に関わっています。例えば、地域の研究機関の研究成果から新産業を創出する『地域テックプランター』や、中高生の研究者が研究発表と議論を行う学会『サイエンスキャッスル』の大阪・関西大会を担当しています。

–リバネスで仕事をする中で、何にやりがいを感じていますか?

『地域テックプランター』では研究者の方と関わることも多いんですけど、感謝の言葉をもらうとすごく嬉しいですね。例えば、「先生の研究はすごく面白いので、ぜひ地域テックプランターに来ていただいて、こういう切り口でアイデアを発表してみてはいかがでしょう」と誘い続け、実際に参加してくださった方がいたんです。しばらくした後で、その方から「あの時、正田さんに声をかけてもらえなかったら、今でも研究室の外には踏み出していなかったと思います」とメッセージをいただきました。

こんな感じで、テックプランターにお誘いしてきた研究者がたくさんいるんですが、『地域テックプランター』をきっかけに企業や自治体とつながり、地域の課題解決に取り組んでいる方が何人もいらっしゃる。そのきっかけを作れることがとても嬉しいです。

–これからリバネスでどんなことに挑戦していきたいですか?

楽しくて、熱中してしまうプロジェクトにたくさん関わっていきたいですし、自らプロジェクトを生み出していきたいです。

例えば、2024年から始まって、いま熱中している仕事に『Kuzu Heart プロジェクト』があります。社内では『鳩プロジェクト』と呼んでいるんですが、大阪府枚方市の樟葉駅周辺で起きている鳩の糞害解決を目指しています。

樟葉駅近くには、岩清水八幡宮があり、古くから鳩が神の遣いとして大切にされてきました。そういった地域的な背景もあり、街中に集まった鳩による糞害が生まれていたんです。

地元の人々にとって鳩は神様の遣いですし、鳥獣保護等の観点からも殺処分するわけにもいきません。けれど糞害は困る……。そこで沿線のショッピングセンターを運営する「株式会社京阪流通システムズ」と協力して、鳥類の専門知識を持つ研究者にヒアリングを行い、ハトと共生しながら糞害被害を少なくする方法を模索しました。

リバネスは、様々な領域の研究者を積極的に仲間に誘える『地域テックプランター』を開催していますし、『鳩プロジェクト』のように地域企業と協働もできる。主体的に研究者や企業と関わりあって、新しいプロジェクトを生み出せる環境だと思います。これからも「やりたい」という気持ちを大切にしながら、社会課題を解決するプロジェクトを創っていきます!

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